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はじめに
こんにちは、薬学生です。
みなさん、8月の終わりにAPR10,000%超えで盛り上がりを見せていたPearZapを覚えていますでしょうか。
PearZapとは
PearZapとは、2021年8月頃からPolygon・BSC・Fantom上にサービスを展開していたファーミング系プロジェクト。ユーティリティトークンは「PEAR」。2021年11月より新たにDEX(分散型取引所)の機能を実装し、新たにガバナンストークンである「JUIX」を発行予定であったが、コミュニティ離れなどを理由として12月にサービス停止を発表。
PearZapの公式サイトはこちら(BSC版・Polygon版・Fantom版)
このPearZapにつきまして、12月10日に開発中止のアナウンスがありました。今回は、公式の発表の中身を紹介しつつ、どうしてPearZapが開発中止に至ってしまったのかを考察したいと思います。
開発中止に至った経緯
それでは、まず開発中止に至った経緯をおさらいします。公式の発表は以下の通りです。
■ここ数週間で何が起こったのか
PearZapのコアチームは、ここ数週間、できるだけ多くの注目を集めようと努力してきました。マーケティングチームは、可能な限り多くの注目を集めるために、約4、50万円をマーケティングに費やしました。開発チームは、新しいJUIX DEXをリリースし、$JUIXという全く新しいトークンを開発しました。$PEARが最大供給量60Mに制限されているため、$JUIXは、DEXトークンとして$PEARをバックアップするために必要とされました。コミュニティは、私たちが考えていたほど、$JUIXに熱狂的ではありませんでした。JUIXのローンチは、ハードキャップの約15%しか調達できず大失敗でした。
ローンチ後、私たちは$PEARのキャップを外し、$PEARをDEXトークンとして使用し、$PEARに完全に集中することを提案しましたが、コミュニティはこの提案に反対票を投じました。
今チームができることは、$PEARの最大供給量の上限を上げ、ブロックごとの$PEARの排出量を減らすことだけです。しかし、これは問題を遅らせるだけで、$PEARの供給量は増え続けるでしょう。■$PEAR価格はどうなったのか
BSCとFantomの$PEARの価格はPolygonよりも下がりましたが、この2つのチェーンは流動性が非常に低いという事実があります。最近、投資家がPearZapを見限ったため、売りが多くなっているようです。流動性が低いので、それらの売りが価格に大きな影響を与えています。
また、Polygonの価格も下がり続けており、買い圧力がほとんどないことからも、人々の関心が薄れてきていることが分かります。■では、どうするか?
コミュニティのバックアップがなければ、このプロジェクトは死んだも同然です。PearZapのコアチームは、DEXを上げるための打開策を持っていませんし、たとえそれができたとしても、$PEARは値下がりし続けることが予想されます。SNSでは、このプロジェクトを詐欺と呼ぶ人が非常に多く、その数は増え続けているようです。
PearZapチームはPearZapの開発を停止します。我々はこの決断の影響を理解していますが、残念ながら我々は出口の光が見えないトンネルの中でプロジェクトを継続する理由を見つけられません。
チームは常に正直で透明であり、最終的にも正直で透明であり続けます。チームはプールにすべての流動性を残していくので、コミュニティの皆さんには流動性を取り除いていただくようお願いします。
もちろん、これは私たちが望んでいたプロジェクトの進め方ではありませんが、私たちは現実的で公明正大でなければなりません。(中略)
ここがPearZapの素晴らしい旅の終着地点です。私たちは、この旅に参加してくれたすべての人に感謝します。
PearZap Final Mediumより抜粋
こちらを読むと『コミュニティ離れ』がプロジェクト失敗の大きな原因であることが分かりますね。では、どうしてコミュニティ離れが進んでしまったのかを次の項目で考察したいと思います。
コミュニティが離れた理由
ここではPearZapからコミュニティが離れてしまった理由を大きく2つ挙げてみます。なお、ここで挙げる2つはPearZapに限定した話ではなく、魔界系のプロジェクトに共通して言える話だと思っています。もちろん、これ以外の理由も沢山あると思いますので、みなさんも考えてみてください。
- ブームが過ぎてしまった
- 他のプロジェクトとの差別化が難しい
●ブームが過ぎてしまった
こちらについてですが、いわゆる魔界と呼ばれるDeFiのファーミング系プロジェクトに対する興味・関心が全体的に下がったことが原因として挙げられると思います。
私自身もですが、魔界のファーミング系プロジェクトに流動性を提供することによって金利を稼ぐということに、ある種飽きてしまったのだと思います。また、今年の後半からはNFT・GameFi・メタバース・Web3.0といった新しいトレンドが出てきて、そちらに資金が流出していき、ファーミングの影が薄くなってしまった印象です。
●他のプロジェクトとの差別化が難しい
この要因もとても大きいと思います。プロジェクトローンチ直後は、その高いAPRによってユーザーが集まり、資金が流入します。しかしDeFiの世界ではプロジェクトの根幹となるスマートコントラクトと呼ばれるシステムの全容がオープン化されている場合が多く、雨後の筍のように次々と同じようなプロジェクトが登場してきます。
そうした多くのプロジェクトが存在している中で、多くの魔界系プロジェクトは資金の流入を保ち続けるだけのインセンティブ(他のプロジェクトとの差別化)を維持できないという現実があります。そして、資金が流入しなくなると、トークンの価値も下がり高APRを維持することができなくなり、さらに資金の流入が減る…といったスパイラルに陥ります。
APRが下がり続けると、PancakeSwapなどの大手サービスとの差別化ができなくなります。そうなってしまうと、当然ユーザーは実績と安心感のある大手サービスを利用しようと考えるため、さらに資金が流出してしまいます。
このように『他の魔界系プロジェクト』・『大手サービス』とのユーザーの取り合いに勝たなければ、プロジェクトが存続することが難しいという現状があります。
PearZapのよかった点
PearZapのよかった点としては、最後までコミュニティに対して誠実な対応をとったところが挙げられると思います。コミュニティに対して何も言わずに、アカウントを消して消失するプロジェクトがある中、PearZapは開発停止のアナウンスを実施しており、その点は評価できると思います。
なお、Twitterなどでスキャムだと騒いでいるアカウントもありましたが、PearZapの名誉のために個人の意見を述べておきますと、スキャムと運営がうまくいかないことは明確に分けて扱うべきだと思います。PearZapについて言えば、最終的には運営がうまくいかなくなりましたが、スキャムではありませんでした。
おわりに
以上、PearZapのまとめでした。9月に開始したこのPearZapの紹介記事も、ついに終わりを迎えてしまいました。投資という観点で言うと、プロジェクトに執着をしてはいけないと思います。今後も新興のファーミングプロジェクトは登場してくると思いますが、そうしたプロジェクトを見定めるときに、PearZapの栄枯盛衰を参考にしたいと思っております。
PearZap運営の皆様、長いことありがとうございました〜!