【番外編】むしろ損するPancakeSwapのHarvestの頻度について

PancakeSwapとは みなさん、PancakeSwapをご存知でしょうか。こちらは、バイナンススマートチェーン(BSC)上で動いているDEXの1つになります。 PancakeSwapに限らず、DEXではファームにステーク(仮想通貨の流動性を提供)することによって、その見返りとしてトークンをもらうことができます。もらえるトークンを…

更新:2022/02/11

はじめに

こんにちは、薬学生です。

みなさん、PancakeSwapをご存知でしょうか。こちらは、バイナンススマートチェーン(BSC)上で動いているDEXの1つになります。

PancakeSwapに限らず、DEXではファームにステーク(仮想通貨の流動性を提供)することによって、その見返りとしてトークンをもらうことができます。もらえるトークンを専用のプール(トークン単体をDEXに預ける)することによって、複利を得ることが可能であるため、ある程度トークンが貯まったら、Harvest(ハーベスト・収穫)を選択してトークンを受け取り、そのトークンをプールに(あるいは再度LPトークンとしてファームに)ステークしているかと思います。

先日、Harvestの最も効率のよい頻度について考察しました。そちらの記事は以下になりますので興味のある方はそちらをご覧ください。

上記の最適頻度を考察する中で、これよりも早い頻度で収穫を繰り返すと損をするという収穫頻度の限界を参考までに算出していました。今回はその「損をしない収穫頻度の上限」についてご紹介します。

損をしないHarvestの頻度の上限

結論から伝えますと、以下の式で求められる頻度より短期間でHarvestを繰り返すと損をすると考えました。

頻度の上限 = √2d/Ak

d : 1回当たりのガス代(取引手数料)
A : ファームによる1日当たりの利益
k : プールによる1日当たりの利益率

ちなみに以下の頻度が前の記事で紹介した最適頻度になります。比較してみると、「損をしない収穫頻度の上限の約1.4倍=最適頻度」となっていますね。

最適頻度 = 2×√d/Ak

この式の求め方につきましては、以下の通りになります。

Harvest頻度の上限の求め方

x日ごとに収穫するとし、収穫・プールにかかる手数料と、その期間プールすることで得られる利益の大小を比較します。

A : ファームによる1日当たりの利益
k : プールによる1日当たりの利益率
d : 1回当たりのガス代(取引手数料)

収穫しないで放置している状態より損をしないためには、

プールによって得られる利益 > 支出(ガス代)

となればよいです。利益・支出はそれぞれ、以下の通りとなります。

以上から、以下の通り求めることができます。

考察

こちらの式に基づいて、ためにし以下の2条件で計算してみたところ、PancakeSwapの頻度の上限は約44日PearZapの上限は約3時間となりました(2021年9月14日時点)。この値を1.4倍すると、以前紹介した最適頻度になります。

※なおこちらで紹介しておりますPearZapは2021年末でサービスを終了しています

PancakeSwap
ファーム:CAKE-BNB
プール:CAKE earn for CAKE (manual)
ファームのステーク額:500ドル

PearZap (Polygon)
ファーム:PEAR-USDC
プール:PEAR
ファームのステーク額:500ドル

基本的には、先日の記事で紹介した最適頻度を目安に収穫を行えばよいと思います。もしもそれより早い頻度で収穫したいと考えているのであれば、この記事で紹介した頻度以上で収穫を行わないように注意するとよいと思います。

また、以前もお伝えしましたが、この記事で紹介している頻度は、理論上のものであり、実際のDEXの条件を完全に再現して求めていません。以下の点が、この計算式に欠けている点になります。

  • 1日当たりの利益(率)を一定として計算している
  • 1回当たりのガス代を一定として計算している
  • トークンの価格変動による影響を考慮していない

なお、この記事ではこれ以上の頻度で収穫をしたら損をすると紹介しましたが、厳密に言うと、この頻度でも長期間運用を続ければ収支はプラスになります。それは、プールによって得られる利益は、プールした日からその次にプールする日までではなく、運用している間増え続けるからです。言うのであれば、銀行預金もずっと続けていれば、いつかは何億円にでもなる可能性があるということと同じような理論です

ですので、利益の最大化・効率化を図るのであれば、今回紹介した頻度以上で収穫を行わない方がよいかと思います。(もちろん最終的な判断は投資家各自となります)

以上、2回に分けましてHarvestの最適化について考察してきました。私自身、「どれくらいの頻度で収穫したらよいのだろう?」「有名なこの人は⚫︎日で収穫って言っているけど、別の人は◆日って言っていてどっちがよいのだろう?」と疑問に思っていましたので、そこそこ時間をかけて考えてみました。

私自身、金融数学の専門という訳では全くありませんので、計算式が間違っていたり、よりよい考え方があるかもしれません。そうした知見をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ともコメントやTwitterなどでご意見を伺わせていただければと思います

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