更新:2022/02/11
はじめに
こんにちは、薬学生です。
みなさん、PancakeSwap(パンケーキスワップ)など分散型取引所で、トークンをファーム・プールにステークする時に、インパーマネントロス(変動損失)を考慮することがあるかと思います。
かく言う私も、「このLPトークンのペアだとAPRが高い!でも新興プロジェクトのトークンだから値下がりで損するかもしれないからどうしよう。」と考えることがあります。
そこで、「もしトークンの価値が◆%減少したとしても、APRが⚫︎%だから、▲日でインパーマネントロスと相殺できる」といった計算の仕方について考えましたので、備忘録的にこちらでご紹介いたします。
インパーマネントロスの詳しい計算方法はこちらのサイトを参考にさせていただきました。なお、途中式が一部間違っていましたのでご注意ください(最終的な結果は合っています)。また、インパーマネントロスについてはたくさん解説記事が出ており、自動計算サイトなどもありますので、それらを活用すると良いと思います。
考察結果
結論から伝えますと、価格がa倍に減少したとしても、以下の式で求められる日数で、収支がトントンになると考えました。
LPトークンをファームする場合
LPトークンのペアのうち片方はステーブルコインであり、価格変動がない想定です。

a : トークンの価格変化率 (例:半減ならa = 0.5、5%減ならa = 0.95)
k : LPトークンのファームによる1日当たりの利益率
トークン単体をプールする場合
LPトークンの式と似ていますが、LPトークンよりも価格変動による影響を受けやすくなっています。

a : トークンの価格変化率 (例:半減ならa = 0.5)
k : トークンのプールによる1日当たりの利益率
これらの式の求め方につきましては、以下のページに掲載しましたのでそちらをご参照ください。
これらの式に基づいて、ためにし以下の2条件で計算してみたところ、BeefyでLPトークンをステークする場合は21日、PearZap(Polygon)でトークン単体をステークする場合は125日で元本を回収できるとの結果になりました(2021年9月25日時点)。
LPトークンをステークする場合に比べて、トークン単体をステークする場合の方が元本の回収にかかる日数が6倍ほどになっていますね。もちろん、そもそものAPY(あるいはAPR)に差があることも一つの要因ですが、トークン単体でステークする方が、価格変動に大きく影響されるので、実際に運用する時には注意が必要です。
プロジェクト名 | Beefy | PearZap(Polygon) |
---|---|---|
トークン | PEAR-USDC LP | PEAR(Auto) |
APY/365 | 2% | 0.8% |
PEARの価格変動 | 50% | 50% |
元本の回収日数 | 21日 | 125日 |
※なお、こちらで紹介しているPearZapは2021年末でサービスを終了しております。
この考察の欠点
注意していただきたいのが、こちらで紹介した考察は理論上の話であり、実際に運用する上では必ずしも成立するとは限りません。また、逆にこれより短い期間で元本が回収できる場合も少なからず起こります。
別ページに求め方を掲載していますので、そちらを見てもらうと分かるかと思いますが、以下のような欠点があります。
- 1日当たりの利益率を一定として計算している
- トークンの価格がステークと同時に下落したと想定している(利益が少ない想定で試算している)
2つ目の内容について、利益が少ないケースを想定した方がよいと考えたため、そのようにしています。そのため、価格がなだらかに下落した場合には、この式で求まる日数よりも短い日数で元本を回収できます。逆に、価格が一時的に想定よりも下落し、そこから想定していた減少率まで価格が上昇した場合、この式で求まる日数よりも元本の回収に日数がかかる可能性があります。
おわりに
この記事は、運用利益を高めることを考えたときの参考になればという考えから考察したものになります。そもそも論として、そのような価格変動が大きいと考えられるものに投資しないというのが正しいのかもしれません。ただ、外的要因(現在の中国恒大の債務不履行問題や各国の仮想通貨規制の動向など)により価格が変動することはありますし、言ってしまえば仮想通貨全般が価格変動が大きい分野ですので、目安として試算することは大事だと思います。
もし計算式が間違っていたり、よりよい考え方をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ともコメントやTwitterなどでご意見を伺わせていただければと思います。